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Toast ナイジェルスレーターの自叙伝

Toast ナイジェルスレーターの自叙伝
Toast cover
最近とても興味深い本を読みました。Toast a story of a boy’s hungerという本です。これは、わたしの大好きなイギリス人グルメ評論家・料理研究家のナイジェルスレーターの子供時代を書き出した自叙伝です。ナイジェルスレーターといえばBBCのSimple supperでおいしそうなホームクッキングを披露したり、園芸愛好家だったり、もともとはObserverのグルメ評論家で有名になった人です。わたしはBBCの料理番組でやけに丁寧に料理を作る人だな〜と思って見ていました(玉子1個割るのすら超丁寧)。彼の違う著書でKitchen Diaryという本があるのですが、1年間大体毎日の日記風レシピ本を前に買ってかなり愛読していたので、Toastにも興味を持っていました。
Toastは基本的にはナイジェルスレーターの子供時代の自叙伝なのですが、60年代のイギリスの中流家庭の様子や価値観、どんな食べ物を食べてどんな生活をしていたのか、かなりよく分かります。 一番最初のチャプター「Toast」が多分一番この本の中で言いたいことなのだと思います。トーストとは、イギリス人にとってみたら、日本人のおにぎりのようなソウルフードであって、どんなに欠点の沢山ある人でも自分のトーストにバターを塗ってくれる人を愛さずにはいられない、という出だしです。日本人のわたしにはあまりない感覚なので、へーそうなんだー、と妙に腑に落ちてしまいました。

彼の子供時代はなかなか複雑で好き嫌いの多い神経質な子供だったけれど、食べること自体には興味を持っていて、後に成長するにつれてなんでも食べれるようになり、ケータリングの仕事をしたりもします。そこここで出てくるさまざまな食べ物が当時のイギリス人の食生活を如実に伝えています。たとえば、はじめてスパゲティを作った時、当時一緒に住んでいたおばさんは食べるのを断固拒否。近所の食品店で勧められたとおり、スパゲティの上にパルメザンチーズをかけてみたら、不慣れな匂いに怖気づき、普段は厳しいお父さんも、食べなくても、よし!と言ったりします。また中流階級の家が故に、お家ではPG Tipsは庶民の物、だけどTwinningならOKという価値観(でも、トワイニングではなく、トゥウィニンングと間違って発音していたらしい)やさまざまなチョコレートバーと、そのどれが男の子用で女の子用、とか、わたしは考えもしなかったようなことが沢山されています。

複雑な家族関係で揉まれつつも意外とドライな目線で描かれていて、ものすごく感情を揺さぶられるような書き方はされていないのですが、彼の作る料理同様とても丁寧に文章が書かれていて、しかもチャプターごとが短いのでかなりすぐに読めてしまいます。秋の夜長におススメの1冊です。
2012年11月27日(火) written by Ayako from (イギリス)
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