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ベルリンの老人ホームを訪れて感じたこと  日本と似通う介護職の課題

ベルリンの老人ホームを訪れて感じたこと  日本と似通う介護職の課題
老人施設ホーム名が記載してある
施設入り口前

 先日、仕事の関係でベルリン市内の老人ホームを訪れる機会がありました。
昼間であれば特に訪問時間の制限もなく、受付に立ち寄ることもなく自由に出入りできる様子に、少し驚きました。「こんなにオープンなんだ」と思ったのを覚えています。
私が訪れた施設は、個室中心の比較的裕福なホームで、雰囲気としては病院に近い印象でした。
働いているスタッフの方々は、20代の若い世代から40〜50代まで幅広く、男女比も半々ほど。
そしてやはり、外国出身の方が多い印象でした。

 実際、ドイツでも介護職は人手不足が深刻で、ベルリンでは特に外国人介護職の受け入れや多文化対応が進められているそうです。
介護の仕事はドイツでも「ハードワークで給与が低い」といわれており、そのために人材が集まりにくい状況が続いています。

館内では、明らかに疲れ切った表情のスタッフの方を何人も見かけました。調べてみると、ベルリンでは高齢者人口が年々増えており、それに伴って要介護者の数も増加しています。
2023年時点では、ベルリン・ブランデンブルク地域で要介護者のうち 76.6%が65歳以上。
また、介護を必要とする人のうち 約15%が施設でのケアを受けている とのことです。


 一方で大きな課題となっているのが、入居費用の上昇 です。
ベルリンでは2023〜2024年の間に、施設型介護ホームの入所者の自己負担額が 平均2,689ユーロ/月 にまで上がったと報告されています。
この負担は家族にとっても重く、施設運営側にとっても経営を圧迫しています。

その結果、2025年時点でドイツ全体では 1,200以上の介護施設が閉鎖または倒産 したというニュースもありました。
今後さらに施設数が減れば、「入りたくても入れない」高齢者が増えるのではないかと懸念されているとのこと。

 実際に現場を訪れてみて感じたのは、ドイツでも日本でも、介護の現場が抱える課題はとても似ているということ。
介護職の人手不足と疲弊、入居者や家族の経済的な負担。そしてその中でも懸命にケアを続けているスタッフの姿が印象的でした。

介護という仕事が、もっと尊重され、安心して働ける環境が整うことを願ってやみません。



2025年10月28日(火) written by まっちょ from (ドイツ)
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