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『日本』に出逢える港町・スティーブストン

『日本』に出逢える港町・スティーブストン
スティーブストン港。左側にあるボードウォークや
レストランのパティオは観光客でギッシリ。
8月下旬辺りから晴れの日が続いたバンクーバー。日差しはあれど、気温は20〜25℃辺りに留まり、めっきり涼しくなりました。時には肌寒いくらいで、気温だけで言えばすっかり「秋」の様相です。
そんな秋晴れのような気持ちのよい天気だった先週の日曜日、バンクーバー市のお隣のリッチモンド市にある港町「スティーブストン」に行ってきました。BC州の中でも歴史の長い港町であるスティーブストン、実は「日本」とかなり深い関わりがある港町なんです。今回はそんな港町スティーブストンと、かつてこの町で生きた日系人の歴史を御紹介したいと思います。

『日本』に出逢える港町・スティーブストン
フィッシャーマンズ・ワーフ
入り口のゲート。日の丸も見えます。
スティーブストンはリッチモンド市の南端、ジョージア海峡とフレーザー川の合流地点に位置し、町の至る所にレストランやカフェ、お土産屋が立ち並ぶ活気のある小さな港町です。ここが現在のような華やかな観光地となるより遡る事約130年前の19世紀後半(1877〜78)、後に「スティーブストン」の名の由来となるマノア・スティーブス一家が、カナダ東海岸のニューブランズウィック州からこの海辺の小さな漁村に移住してきました。それから数年後の1882年にはその他の居住者によって最初の鮭の缶詰加工工場が営業を開始し、順調な鮭漁に後押しされた形で、最盛期には小さな漁村に45もの缶詰工場がひしめく形となりました。現在、当時最大手の缶詰工場だった「ジョージア湾缶詰工場」が「漁業博物館」となって公開されています。そして鮭の缶詰加工業が順調になればなるほど必要になってくるのが「人手」。仕事を求めていた先住民、そして同じく仕事を求めて海を越えてやって来た中国人・日本人・ヨーロッパ人達が鮭漁の漁師、もしくは缶詰工場労働者としてこの地で従事しました。日本人の「カナダ移住」が活発化したのもこの頃です。
当時の日本人のスティーブストンにおける人口ですが、鮭漁の最盛期から第二次世界大戦に至るまで、村の人口の大半を占める3000人以上の日本人達がスティーブストンに定住していたと言われています。勿論、当時のカナダ国内では最大の日本人コミュニティーでした。そして居住期間が長くなるにつれ「雇われの身」から造船業や開拓業などの「事業設立」に移行する日本人も多く現れるようになり、更には労働環境の改善・向上、人種差別撤廃を求める日系人労働者達による「労働組合」も作られました。そのように日系人にとって生活環境も整ってきた矢先の1941年12月7日、真珠湾攻撃によって第二次世界大戦が勃発し、「敵国人」とみなされた日系人達は家財道具を含む全ての財産をカナダ政府に没収され、カナダ内陸部に作られた日系人収容所に抑留される事となりました。戦前の日系人達の生活の様子ですが、今では史跡に指定されている造船所跡地『Britannia Heritage Shipyard』にある『Murakami House』にて垣間見る事が出来ます(要予約)。

『日本』に出逢える港町・スティーブストン
史跡『Britannia Heritage Shipyard』
にある造船所跡。
終戦後、スティーブストンに戻ってきた日系人達はごく僅かで(とはいえ、今でも大きな日系人コミュニティが有ります)、あれほど鮭漁と缶詰加工業で賑わっていた港町も徐々に衰退し、1990年代には全ての缶詰加工業が終焉を迎えました。しかし後に缶詰工場跡や造船場跡が史跡に指定され、更に土地開発等によって「衰退した漁村」から「華やかな観光地」への移行に成功。今ではメトロ・バンクーバーの中でも有数の観光地の一つとなっています。晴れた夏の日には海に面したレストランのパティオや、遊歩道となっているボードウォークが人で溢れかえる程の賑わいとなります。今回、私が行った時もかなりの人出で、「何かイベントでもあるのかな?」と思った程で、水上市場も多くの観光客や新鮮な魚介類を求める人々でひしめき合っていました。
今ではとても華やかで賑やかな観光地・スティーブストンですが、私はこの港町を歩くたびに、今から一世紀以上も前にこの異国の地に移り住み、その日その日を必死に生きた同国の人々に思いを馳せ、しんみりとした気分になるのでした。
2009年09月01日(火) written by Saori from (カナダ)
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