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「ここはカトリックの国だから」中絶をめぐる悲劇 〜 アイルランドワーキングホリデー

 アイルランドは、ほかのヨーロッパの国々と同様クリスチャンの国です。2011年の国勢調査の結果によれば、人口の約85%がカトリック信者であるのだとか。実際敬けんな信者も少なくなく、カトリック教会の前を車や徒歩で横切る際に十字を切る人、夕方6時から1分間の<祈りの時間>(The Angelus/ラテン語で<天使>の意味だそうです)に神に一日無事に過ごせたことを感謝し、祈るアイルランド人も私の周りにはいます。そういった事情から、アイルランドではこの宗教が“ご法度”としている『離婚』『避妊』『同性愛』『中絶』がタブー視されるきらいがあります。
 
さすがにここ近年では、違法とされていた離婚も15年ほど前に合法化され、同じく20年ほど前にはほとんど店で見かけることがなかった避妊具も、現在は容易に薬局やスーパーマーケットなどで購入することができるようになりました。また同性愛結婚に関しては、アイルランドでも2011年1月からCivil Partnership Act(市民パートナーシップ法)が施行されるようになっています。これは同性愛者カップルに対し、男女の夫婦とほぼ同等もしくは近い権利を認めるというもの。
 
 さて、こういったカトリックの“タブー”もすべて解決されてきているように思えるのですが、一つまだ大きな問題がはだかっています。そう、それは『中絶』。アイルランドでは基本的に中絶が違法となっており、ティーンエージャーなど望まない妊娠をしてしまった中高生の女の子たちが、中絶手術を受けるためロンドンなどアイルランド国外の病院へ駆け込むケースも後を絶ちません。
 しかも先月、この中絶を巡り大変な悲劇も起きてしまいました。それは、アイルランドに在住する31歳のインド人女性のお腹の赤ちゃんが、残念ながら流産してしまうこととなり、女性もひどい痛みのため、急いでゴールウェイの病院へ行くこととなった時のこと。しかし当時胎児の心臓がまだわずかながらも動いていたため、病院側が中絶手術を拒否します。理由は上記にある「アイルランドはカトリックの国。生きている胎児の命を消すわけにはいかない」というのがその言い分でした。しかし、そのため母体が危険な状態となり、結局血液感染を起こしたその女性は数日後に亡くなられたのです。

 この事件を受け、現在この中絶に関する法律改正に対する話し合いや動きが活発に行われている状態なのですが、実は同じ悲劇が20年前にも起きているのだそうです。
 アイルランドに長く住まって、この国の人々のカトリックの精神に基づく<Sharing is caring>、つまり<お互いに分かち合い、助け合い、お互いを気遣う>精神に、今まで私自身たくさん助けられて今日まできましたが、それでもカトリックの国であるという事情から、今回こういった悲しい事件が起きてしまったのは本当に遺憾に思います。2度とこのようなことが起こらないよう、国がしかるべき法改正等を一刻も早くしてくれることを祈っています。

2012年11月30日(金) written by Uisce 『エール備忘録』 from (アイルランド)
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