マルゲリータ王妃　芸術の発展に尽した人

マルゲリータ王妃。

フランス皇后のウージェニーや、オーストリア皇后のシシィに比べるとなんとなく影の薄い感じがするイタリア王妃マルゲリータですが、ピッツァの名前になったので、有名は有名かもしれません。
イタリア国王第一号はヴィットリオ・エマヌエーレ2世ですが、彼の妻マリーア・アデライデは1855年に産褥死したためにイタリア王妃にはなっていなくて、次のウンベルト1世が従妹のサヴォイア家マルゲリータと1868年に結婚、そして1878年に王位につくと、マルゲリータはイタリア王妃第一号となりました。

モンツァの王宮

そのウンベルト1世とマルゲリータ妃、ミラノから約２０km北の街モンツァにあるVilla Reale/王宮をいたくお気に召してたようで、それもそのはず、ヴィットリオ・エマヌエーレ2世から結婚のお祝いに贈られたのだそうです。
この王宮はスカラ座などを手がけた建築家ジュゼッペ・ピエルマリーニの手によるもので、1776年から1780年にかけて建設された、ハプスブルグ家好みの新古典様式。
あのマリア・テレジアの息子フェルディナンド王子の邸宅として建築されましたが、その後ナポレオンの欧州制覇、そしてナポレオン没落後はイタリア国王の手に渡りました。

王妃の寝室

広大な敷地内には、イタリアで最も古いイギリス式庭園や他の貴族達のヴィラが点在し、美しい公園が広がります。
現在ではF1サーキット場、２つのゴルフコース、競馬場などがあり、囲まれた「公園」としては現在ヨーロッパ最大の大きさを誇ります。
ただ財政難のイタリアで、こうした宮殿を維持していくのは至難の技・・・つい最近まで一般公開すらされていませんでしたが、ウンベルト1世とマルゲリータ王妃たちが使用していた部屋のいくつかが、この度めでたく公開されました。

美しいサロン、謁見室、重厚な書斎、豪華な寝室・・・当時を彷彿とさせる展示品が並んでいました。
特に王妃が着用していた夜会服やアクセサリーの数々はもうウットリしてしまいます。

マルゲリータ王妃は、このヴィラでイタリアの詩人たち（パスコリやダヌンツィオ）を招いて、文学サロンを毎週開催したり、芸術の庇護者としてもイタリア国内では名高い王妃ですが、実は夫ウンベルト1世の愛人の件などで色々と悩みも多かったようです・・・だからその寂しさを「芸術の庇護」へ向けたのかも？？

美しいサロン

皮肉な事に、このお気に入りのモンツァで、ウンベルト1世は1900年7月29日午後10時半、無政府主義者ブレーシに射殺されてしまいます。
それ以降は、マルゲリータ王妃も哀しい思い出になってしまったモンツァに通う事はなくなったようです。
第一次大戦の際、王妃はリグーリア州ボルディゲーラに避難しそこで1926年に亡くなりました。
今年、そのボルディゲーラのマルゲリータ邸宅も一般公開されています。