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美しく朽ち果てた廃墟・サンガルガーノ修道院 
The ruins that beautifully rotted away, The Abbey of Saint Galgano

美しく朽ち果てた廃墟・サンガルガーノ修道院
屋根のない修道院サン・ガルガーノ。

 トスカーナ州のシエナから南西に約30キロほど行くと、何にもない田舎道の県道から少し入ったところにポツンと建物が立っているのが見えます。これが知る人ぞ知る廃墟、サン・ガルガーノ修道院跡です。
1218年、聖人ガルガーノに捧げるために建て始めて、1288年に完成しました。が、1328年に飢餓が、1348年にはペストが、この地域を襲い廃れていきます。そして極めつめにイギリス人傭兵ジョヴァンニ.アクート(フィレンツェのドゥオモにウチェッロ作の有名な肖像画があります)が、その後何度もシエナを攻めて略奪を繰り返しました。こうした大打撃のため、サンガルガーノ修道院の状況は一気に悪化します。

美しく朽ち果てた廃墟・サンガルガーノ修道院
ポツンと立ってるのが印象的。

 そして修道士がいなくなり、1786年の落雷で鐘楼が倒れ、その際に修道院の屋根が崩壊。その3年後には教会の地位も解かれ、完全に放棄されます。ついにそのまま朽ち果ててしまいました。
しかし廃墟ってどうしてこう心惹かれるんでしょうね。旧ソ連の映画監督アンドレイ=タルコフスキーの映画『ノスタルジア』をご覧になった方も多いかと思いますが、その映画の舞台になったことでかなり有名な場所になりました。

美しく朽ち果てた廃墟・サンガルガーノ修道院
ゴシック様式の柱が
きれいに残っています。

 個人的には写字室(Scriptorium写本作成の場)が綺麗に残っているのが感動的です。ここは元々シトー会の修道院で、シトー会は写本中の修道士たちの会話を禁止していたらしいです。行った時も誰もいなくて静まり返っていました。こういう場所で中世のあの美しい写本が出来たんだなぁと思うとなんだか長い年月を経た場所に自分が立ってるのが不思議な気持ちになりました。
オン・シーズンの週末には、この場所でコンサートやオペラが企画されたりするようです(ただ現在のコロナ禍では中止になっていると思いますが)

サン・ガルガーノはシエナ近郊にあり、モンティチャーノとキウズディーノとの間にあります。交通の便が悪いので車で行くしか方法はないかもしれません。フィレンツェからだと車で1時間半ほどかかります。

美しく朽ち果てた廃墟・サンガルガーノ修道院
静寂に包まれる写字室。

 不便な所にあるのですが、一度行ってみる価値は十分にあります。もしトスカーナを旅行する際には是非立ち寄ってみてください。オススメです。

2020年11月03日(火) written by Maliarda from (イタリア)
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