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四旬節に肉よりも魚を食べるのはどうして?  尊ばれるイタリアの伝統

四旬節に肉よりも魚を食べるのはどうして?  尊ばれるイタリアの伝統
鯛のグリル。シンプルな調理法が重要。

 四旬節はカトリック教会において、復活祭(日曜日)の46日前の水曜日(灰の水曜日)から復活祭の前日(聖土曜日)までの期間を指します。
カトリック教徒が多くを占めるイタリアでは、この四旬節中に肉料理よりも魚料理を多く食べるという伝統があり、2017年の統計ですが、期間中イタリア人の3人に1人は肉よりも魚をより多く食べ、復活祭の週末には魚介の売上のピークが50%も増加するらしい!

現在ではたとえ神学的な理由が弱まっているとしても、イタリアでは古い伝統や習慣に従う傾向が強いことがわかります。

 この四旬節の金曜日に魚を食べるという伝統は、北イタリア(35%)よりも中南部イタリア(65%)でより尊重されていて、 特に男性(45%)よりも 女性(55%)、そして若い世代(30%)よりも60代以上(70% )の人がより伝統を守っているようです。


四旬節に肉よりも魚を食べるのはどうして?  尊ばれるイタリアの伝統
魚介類のパスタの
出番が多くなる四旬節。

 トマス・アクィナスは著書『神学大全』の中で

「赤身の肉を食べることは、その方がはるかにおいしいため、より多くの喜びを与える。したがってそれを排除することは、より大きな犠牲を伴うことになる」

と説明していて、また「鶏肉も快楽を生み出す」と警告しています。

したがって教会は、大きな喜びを与え、また情欲を刺激する肉を摂取することを禁止しました。
呼吸する動物の肉や陸生動物の乳や鳥の卵などがそれにあたりますが、これらの動物は体が人間により近いため、食料としてより多くの喜びを人にもたらすからというのが理由です。

ただ、魚を摂取する場合でも、基本的には「喜びの欠如」が大切であるため、その調理方法は簡単であることがとても重要なのだとか。

例えばこの時期に鯛を食べるとしても、そのままグリルして焼き目をつけ、レモンと塩とオリーブオイルだけで味付けしたものを食べたりします。非常にシンプルです。


 四旬節におけるこうした肉食の禁止は、私たちの罪を償うために十字架で死ぬという「主の犠牲に敬意を表する苦行」として行われているということなのでしょう。
四旬節の間には、こうした謙虚さの感覚というものが反映され、その体験を現代のイタリアでも受け継いでいるのではないでしょうか。

キリスト教徒ではない私にはなかなか理解しづらいのですが、わからないなりにリスペクトは欠かせないと思っている今日このごろです。

2024年03月26日(火) written by Maliarda from (イタリア)
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