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検疫Quarantineの語源と歴史 
Quarantine etymology and history

検疫Quarantineの語源と歴史
検疫の語源はヴェネツィアにあり。

 検疫というのは通常、危険な状態(多くの場合は感染症などの病気のこと)の拡大を制限するために使用される強制的な隔離のこと。この用語は、14世紀にペストの影響を受けた地域から来た船を海上沖で隔離し、その隔離期間である40日間という日数に由来しています。英語ではQuarantineと言います。
このQuarantineの語源は何かというと、イタリア語(正確にはヴェネツィア方言)の「40日」という意味です。では、なぜ「40日」なのでしょうか。

検疫Quarantineの語源と歴史
感染症の患者を診る
16〜17世紀頃の医者の服装。

 14世紀のヨーロッパで大流行した感染症ペスト。皮膚に斑点が出ることから、黒死病の別名を持つペストは、ペスト菌という細菌で伝染していきます。ペスト菌はネズミが保菌宿主で、そのネズミの血液を吸ったノミが媒介し、ノミが人間を咬んだときにペストを伝染させると言われています。
そして人から人への感染が爆発的に起こりました。14世紀当時のヨーロッパ人口の3分の1がペストで亡くなったと言われているほどの甚大な被害でした。想像を絶する恐ろしさですね。


 当時のヨーロッパでは輸送手段は船がメイン。海外貿易の拠点として栄えていたヴェネツィアでは、様々な国からの船が入れ代わり立ち代わり入港していました。それまでの感染症の経験や知識から、入港する船内のネズミのチェックまでしていたという記録も残っているそうです。しかし、動き回るネズミ全数をチェックできるわけでもありません。

そこでヴェネツィアでは外からの船を入港前40日間(ヴェネツィア方言でQuarantena)海上沖に停泊させ、その間にペストが発生していない、危険がないことを確認してからヴェネツィアに上陸させました。これが検疫Quarantineの始まりです。

検疫Quarantineの語源と歴史
今もこの口ばし仮面は人気。

 またカーニバルの仮面で有名なヴェネツィアですが、ペスト患者や伝染病患者を診る医者の仮面までありました。医者の服装も特徴があって、足首までの長さの黒いマントを羽織り、手袋も必須、杖を持ち、つばの広い帽子、そして口ばしの形をした仮面といったいでたち。仮面の口ばしには芳香剤(タイムやミントの葉などの薬草)と藁が入っており、現在で言うマスクのフィルターのような役割を果たしていたようです。
現在もヴェネツィアではこのペスト患者を診る医者のマスクが売られていて、カーニバル期間中には結構な人数の人が医者に扮装してつけていたりして、人気の仮面のようです。


2020年04月21日(火) written by Maliarda from (イタリア)
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