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ミラノの知られざる地下聖堂 イタリア建築の遺構

ミラノの知られざる地下聖堂 イタリア建築の遺構
ミラノ中心に残る遺跡。

 ミラノ中心部、大聖堂から近いミッソーリ広場に行くと、近代的な建物に交じって突如現れる崩れかけた遺跡のような古い壁…実はここはローマ帝国末期の5〜6世紀に初期キリスト教様式で建てられた教会があった所なのです。そして中世期にロマネスク様式で再建。キリスト教の使徒であり福音書記者である聖ヨハネに捧げられた古い教会です。
もともと53メートル×7メートルという大きな教会で、半円形の後陣があったようですが、その後陣の部分が今のミッソーリ広場に残っているんですね。1162年に赤ひげ王と呼ばれた皇帝フリードリヒ・バルバロッサによって破壊されるのですが、その後13世紀に再建されました。


ミラノの知られざる地下聖堂 イタリア建築の遺構
ロマネスク様式の
教会の後陣部分。

 14世紀にはミラノの領主ヴィスコンティ家がこの教会をとても気に入って、地下聖堂を美しいフレスコ画で装飾して家族専用の礼拝堂とし、その後ミラノを支配したスフォルツァ家は教会をカルメル会に寄贈し、この教会に隣接した修道院を建てて、今度はバロック様式で装飾しました。その時に建てた鐘楼は19世紀には天文観測所としても使われたのだとか。
その後、カルメル会への弾圧があったり、イタリア統一後の街づくりなどの一環で教会とその土地は国の所有になり、鐘楼などの取り壊しが決定…そして第二次世界大戦後の再建と交通の需要に伴い、新たな道路を建設するために、1948年から1952年の間にこの場所に残ってあった教会が取り壊されました。

ミラノの知られざる地下聖堂 イタリア建築の遺構
知る人ぞ知る地下聖堂。

 そしてなぜか後陣部分と地下聖堂の一部だけが保存されていて、現在も見学が可能になっています。そして取り壊した教会の正面ファサード部分を、スフォルツァ通りにある新しく建設したヴァルデーゼ教会の入り口に持って行って再建しました。
その他、教会内にあった宝物や聖遺物などはミラノの考古学博物館やスフォルツェスコ城内の博物館に展示されています。特に考古学博物館に保管されている幾何学的模様かつ多色モザイク(床部分)は、ミラノではとても珍しい模様で、ローマ時代の初期教会の床にあったといわれる貴重なものなので、是非ご覧になってみてください。

ミラノの知られざる地下聖堂 イタリア建築の遺構
ミラノに残る唯一の
ロマネスク様式の地下聖堂。

 また地下聖堂はミラノに残る、唯一のロマネスク様式の地下聖堂になっています。こちらもミラノ観光の際には是非どうぞ。
*地下聖堂サン・ジョヴァンニ・イン・コンカ
Piazza Missori 22、Milano
火曜から日曜まで9時半から17時半まで開館しています(月曜休)。入場は無料で、今のところ予約も必要ありません。


2021年11月30日(火) written by Maliarda from (イタリア)
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