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デンマークのお葬式

デンマークのお葬式
デザイン自由な墓石。
ハート形も珍しくありません。
今回はデンマークのお葬式事情について。
私自身日本でも成人してからのお葬式参列の経験がないのですが、デンマークではもう数回のお葬式に参列しました。残念な話ですが、日本のお葬式よりもデンマークのお葬式の方が詳しくなってしまったぐらいです…。
一番最初に参列した時は、日本でも経験がなかったので、一体お葬式には何を着ていけばいいのかととても悩みました。
ネットで調べてみても、詳しいことは載っていないし、周りにも日本人では経験者があまりいなく…デンマークの家族に聞いても『暗めの服を着るだけ。特にルールはないわよ』と言われたものの、それがどうにも信じられなくて当日まで本当に心が落ちつきませんでした。

結局手持ちの黒のドレスを着ていったのですが、ストッキングなしで行ってもいいものか、アクセサリーは真珠でないといけないのか…?など細かい疑問が次から次へと出てきて落ちつかないまま会場へ。
結果から言うと、会場ではこちらが拍子抜けするぐらい色んな服装の人がいました。黒尽くめの自分はむしろ浮いていたぐらいです。

驚いたのはジーンズで参列している人もいたこと。それっていいの!?と聞いてみると『普段着で来ても大丈夫。むしろ急いで駆けつけた感が出るくらいだ』と言われ、妙に納得しました。
さすがに皆グレーや茶色、白黒など落ちついた色を着ていましたが、中には黄色の花柄なんて人もいました。それはさすがに行き過ぎだと思うのですが、ストッキングの色まで気にしていた自分に呆れるぐらい、デンマーク人は特に何も気にしないようです。

故人には花で作ったリースに、名前とメッセージが書いてあるリボンを結わえたものが手向けられます。
棺の周りはもちろん、通路まで色とりどりの花で飾られ、日本では菊の花が一般的でそこまでカラフルではないと思うのですが、こちらの花飾りは様々な色で飾られてとてもカラフルだと思いました。

神父さん(女性の場合も多い)が、故人にまつわるエピソードを家族からのアイデアに基づいて作成、それを皆の前で読みます。日本のように家族代表がみんなの前で挨拶することはなく、人前に出て話すのは神父さんのみです。

いかにもデンマークらしいと驚いたのが、お葬式でも式の合間合間にみんなで歌を歌うこと。

デンマークでは、誕生日や結婚式、クリスマスや記念日など、行事の度に家族がセレクトした歌をみんなで歌う習慣があるのですが、この習慣はお葬式でも健在でした。
大体3曲程度、家族が選んだ歌をプリントしたものが初めに配られ、それを皆で歌います。
お葬式なだけに明るさの中にもしめやかさがある曲が多く、デンマークで行事ごとに歌われる曲にはかなりのレパートリーがあるにも関わらず、デンマーク人は大抵の曲を知っていて、みな歌えるのが普通なのに私はいつも驚きが隠せないのですが…。

式自体は大体30分程度で終了します。神父さんが、故人が土へ還るという意味で棺に土をかけたあと、親族の手によって棺が運び出されて参列者は退場します。

デンマークでは火葬が主流で、式の終盤になれば教会の外に霊柩車が待機していて、そこへ棺を載せるとそのまま出棺。火葬場までついていくことはありません。これがあまりにもあっけなく、家族であれば日本のように火葬場までついていくものだと思っていた自分は少しショックでした。

少ないながらも土葬を希望する人もいることはいます。その場合は教会内の墓地へそのまま棺ごと埋葬されるのを見届けることができるので、こちらの方がお別れを実感できて私は個人的には気持ちの整理がつきやすかったです。

最後までみんなで歌を歌って故人を偲ぶデンマーク式のお葬式。珍しい経験であるのは確かですが、これだけはできれば経験はしたくないものですね…。

2011年09月02日(金) written by 重千代 from (デンマーク)
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