
イギリスでは,出産時に無痛分娩にすることが多いのですが,欧州諸国に比べてナチュラルなお産を推奨している点がわたしはとても気に入りました.わたしがお産をした病院は前回も書いたとおり,普通の産科と助産婦さんがメインでケアをしてくれるバースセンター(助産院)があって自分で好きなほうを選べるシステムでした.もちろん,バースセンターを使用するには低リスクの妊婦であることが条件なので,妊娠期を通してとお産が近くなってきたら担当の助産婦さんがアセスメントをして,バースセンターでも大丈夫かどうか,かなり細かく項目をチェックしてくれます.イギリスのどこの病院でもこういうシステムなのかどうかはわかりませんが,少しでもリスクがある場合や,無痛分娩にしたい場合,帝王切開の予定の人,予定日をすぎて促進剤を使う場合,などはあらかじめ産科で産むことになります.また,もうひとつのオプションとして,ホームバースの選択もあります.わたしはホームバースはしていないので詳しくはわかりませんが,やはりアセスメントをしてもらって,当日は陣痛が強くなってきたら自宅に助産婦さんのチームがやってくる,という感じだと思います.
わたしは,予定日3日前に陣痛が来たのですがまだまだ耐えられる痛さだったので近所をうろうろしたり,お昼はパブで食べたり,普通に過ごしていました.その夜から陣痛がコンスタントに来るようになったので,念のためバースセンターに連絡をしておきました.次の日のお昼ごろにそろそろ陣痛がかなりきつくなってきたので,もう一度バースセンターに連絡をして,タクシーを呼んでバースセンターに向かいました.
バースセンターはとても清潔できれい!そして陣痛,分娩,回復がすべて同じ部屋で過ごすことができるので快適に過ごせます.わたしの入ったバースセンターのお部屋もとても広くて,真ん中には水中出産用の大きなバスタブがありました.わたしは水中出産を希望していたのですが,本番になってみたら全然水中に入る気分が湧かなかったのでバランスボールを使ったり,陣痛の合間にゆっくりしたりして,陣痛が強まるのを待ちました.途中で夜ご飯を持ってきてもらったのですが,それが紅茶とサンドイッチ,チーズ,クラッカー,みたいなものでした.夫の分は食事が出ないのであらかじめ持ってきたおにぎりを食べたりしてました.
いよいよ,分娩!という段階になったときにわたしの体力が持たなかったのとその他諸事情で緊急で産科に運び込まれることになってしまいました.そのときも産科は上の階だったので車椅子に乗せられてエレベーターで移動しました.新しい病室に入れてもらって,助産婦さんとそのボスみたいな人が簡単に状況を判断して,点滴を打ってもらいつつ,明け方に娘が誕生しました.イギリスでは生まれてすぐの赤ちゃんをすぐにお母さんの胸に渡してくれます.軽く赤ちゃんのチェックが済んで,お母さんのチェックや傷口の縫合が済んだら,あとは助産婦さんが初めての授乳の手助けをしてくれます.
怒涛の出産が終わって,少し一息ついたらすぐトイレへ立つように促され,その後,ポットのたっぷりの紅茶とトーストが運ばれてきました.わたしはとてもおなかが空いていたので,トーストのおかわりをすぐリクエストしました.その後のランチはメニューを渡されて自分で選ぶのですが,正直パブ飯?みたいなかなり微妙なものばかりでした.
わたしはその日のうちに退院したかったのですが,念のため1晩だけ入院することになったので,部屋を移動して1晩過ごしました.そこでも何かあったらすぐ助産婦さんが駆けつけて色々教えてくれるので,授乳のことや赤ちゃんのお世話のことも聞けてよかったです.次の日の朝に小児科医の先生が赤ちゃんをチェックして,退院することができました.
イギリスのNHSの病院での出産てどうなんだろう...と思っていたのですが,産んでみてわたしはとても印象が変わりました.医療面でもしっかりしているし,なんといっても助産婦さんやお医者さんや看護婦さんなどみんなとてもよい人たちばかりでした.わからないことはなんでも教えてくれるし,ちゃんと全部説明してくれるのでとても安心でした.確かに,日本人にとってみたら少しワイルドな感じがするところもありましたが,わたしはとてもよいお産をすることができました.
次回はイギリスの産後ケアにシステムについて書きたいと思います.