![]() 【写真:この時期はベファーナ人形もたくさん並ぶ.】 |
クリスマスが終わり,年が明けて少し落ち着いた1月5日の夜.イタリアの民間伝承では,ベファーナがイタリア全土の子供たちに贈り物を届けにやって来ると言われています.
サンタクロースやイエス誕生を祝う東方の三博士と同様ですがベファーナは老婆の姿をした魔女です.
それまでの1年間で,行儀よくしていた子供たちにはたくさんのお菓子やおもちゃが詰まった靴下が届けられ,行儀が悪かった子供たちには木炭やニンニクが詰まっている靴下が置かれます.
特にシチリアの田舎では,石炭の代わりに靴下の中に木の棒が入れられることもあるようです.
![]() 【写真:スーパーにはたくさんの 靴下が売られている.】 |
子供たちは贈り物を持ってきてくれるベファーナのために,グラス.ワインと,地元の料理を載せた皿を用意して,ドキドキしながら眠りにつきます.
ベファーナは通常,黒いショールを着て,箒に乗って空を飛ぶ魔女としてイメージされており,煙突から子供たちの家に入るので煤まみれになっています.
これもサンタクロースと同じイメージですね.
ベファーナの起源は紀元前に遡ります.過去の農作物収穫や季節のサイクルに関する一種の儀式で,古代のミトラ教や,ケルト文化のような北方の冬の儀式が,少しずつイタリア半島にも広まったのだとか.
![]() 【写真:キティちゃんの靴下は人気!】 |
古代ローマ人たちはこれらの儀式を継承し,ローマ暦と関連付け,冬至の後の12日目の夜に死と再生を祝ったようです.
そのときに贈り物が交換された古代ローマの祭りと,このベファーナが結び付けられたのではないかとも言われています.
もう一つの起源は(宗教的なバージョンですが)ベツレヘムへ旅行中の三人の賢者が,ある老婦人に道中の情報を求めて,救世主に贈り物を届けるために一緒に行くように頼んだところ,老婆は断ります.しかし,彼女はすぐに悔い改め,贈り物の詰まった袋を用意し,賢者と救世主イエスを探しに出かけましたが,見つからなかったため,老婆は家々のドアをノックして子供たちに贈り物を届けたという言い伝えもあります.
いずれにせよ,現在のイタリアの子供たちにとっては,1月5日の夜から6日にかけては枕元に靴下が届く楽しいイベントになっています.
最近は靴下の種類も豊富で,大きさも中身も色々な工夫があり,また子供の名前を刺繍して特別な靴下を用意したり,お菓子の種類も様々で,選ぶほうも大変です.
ここ数年はキティちゃんなど日本のキャラクターも搭乗し,女の子たちに大人気.クリスマス時期からスーパーや市場なども,ベファーナの人形や靴下で溢れるようになります.
さて,今年はどんな靴下にしようかな.