![]() 【写真:過疎化はアイルランドでも 日本でも大きな課題の一つ】 |
一カ月ほど前,アイルランドのあるニュースが世界中を(一瞬)歓喜させました.そのニュースとは「アイルランドの離島に移住する人は,8万ユーロ(約1240万円)ゲット!」というもの.
これだけ聞くと「おっ,ラッキー!」と思ってしまいそうですが,もちろんこの話には裏があります.
まずこの"離島"とは,文字通り本土から離れており,しかも橋や道路で本土ともつながっていない島であること.さらに"もらえる"という8万ユーロとは,島で長らく野ざらしにされているような廃墟同然の住居や建物を修復.改築するためのお金のこと.
つまり,アイルランドの離島への移住希望者は,まず離島にある土地.建物を購入せねばなりません.そして購入する建物は1993年以前に建築されたもので,最低2年間は空き家であるものに限ります.
そんなわけで夢の離島でウハウハ生活……というわけではなさそう(苦笑).
この離島移住推進プロジェクトは,アイルランド政府が打ち出したもの.
「Our Living Islands」という10か年構想で,政策名の意味としては「私たちの活気ある島々」といった感じ.そしてその目的は「沖合の離島で,持続可能で活気あるまちづくりを確実なものにし,今後も長く暮らしていけるようにする」ことだそうで,一言でいうならば,過疎化した島をリバイバルさせよう,ということなのでしょう.
ちなみにこの対策で対象となる離島は30ぐらいあるのだとか.
このアイルランドの新政策を知って,過疎の問題は日本だけの問題ではなかったのだな,と改めて思いました.日本でも長らく過疎化や限界集落,空き家の増加といった問題に取り組むべく「地域おこし協力隊」や「移住支援.体験」などが行われていますが,アイルランド同様長い年月がかかりそうです.
しかもこういった課題に直面しているのは,アイルランドや日本だけではありません.イタリアやスペインでも,人口過疎化の市町村が増えたため,こういった地域に移住してくれる人を募り,経済支援をしているといったニュースを以前見かけたことがあります.
今回のアイルランドの離島移住もなかなか難易度が高そうですが,果たしてどんな人たちがどれぐらい,この移住に前向きなのでしょうね.アイルランドの離島たちが,10年後に活気あふれる地域になっていると良いな,と思いました.