![]() 【写真:スーパーの「復活祭」コーナーは 卵型チョコレート一色.】 |
復活祭に向けて,カラフルな卵型のチョコレートやウサギなどをモチーフにした飾りが華やかな時期になりました.年々飾り付けが早まっている感じがするのですが,3月になると一気にお菓子売り場が復活祭関連のケーキやチョコレート一色になります.
復活祭の日は「春分の日の後,最初の満月の次の日曜日」と決められており(ややこしいのですが),毎年日にちが変わる移動祝日です.
2023年は4月9日が復活祭の日になり,この日はイタリア全土が祝日です.次の月曜日もパスクエッタと呼ばれる祝日になり,日本の花見のような感じで,公園でピクニックをしたりして春の訪れを楽しむ日になっています.
![]() 【写真:各社それぞれの チョコレートが所狭しと並ぶ.】 |
復活祭の日は家族や親せきと集まり,大昼食会をするのが一般的な過ごし方です.イタリアではクリスマス同様,とても長い時間をかけて食事するのが特徴で,正午過ぎから初めて夕方頃まで,ゆっくりと食事を楽しむのが伝統的な復活祭の過ごし方.
イタリアのスーパーのお菓子売り場にはズラーッと卵型のチョコレートが並びますが,どうして卵(やウサギ)かというと,古来より豊壌.繁殖力.再生のシンボルだったことが影響しているようです.
またキリスト教では,空洞になっている卵型のチョコレートは,イエスが復活した後の空の墓を象徴しているようです.現在ではカラフルな卵型のチョコレートが並びますが,伝統的にはキリストの磔刑の瞬間に流された血のように,卵を赤く着色することがあったのだとか.
![]() 【写真:色んな種類があって選ぶのもひと苦労.】 |
またカトリックでは卵を生命の象徴と見なす伝統があり,卵は石のようにも死んでいるようにも見えますが,イエスが埋葬され,その後復活した石の墓と同様に,卵の中には死んだようでも新しい命が宿っていて,こうしたことから卵は復活の象徴となったようです.
復活祭の贈り物としての卵の普及はおそらくドイツ辺りで起こりましたが,チョコレートにして贈り合ったりするのはイタリアのトリノで始まったようです.
トリノがチョコレートの街であることはよく知られていますが,ここで卵型のチョコレートは発明されました.
ただ最初の試みは,ルイ14世がフランス宮廷のために作らせたものらしいのですが,それはあまり成功しなかったのだとか.そこで1725年,トリノで鶏卵の空いた殻に溶かしたチョコレートを詰めるというアイデアを最初に思いつき,フランスとは対照的にトリノでは熱烈に卵型のチョコレートが歓迎されたみたいです.
![]() 【写真:なんと100ユーロ超えの 大きな卵型チョコレートも!】 |
時代はさかのぼって,1925年になって空洞のチョコレートに「サプライズ」が導入されました.今では子供たちがチョコレートの中に入っている小さな「サプライズ」だけを楽しみに買うこともあるぐらいです.
そして最近は高級チョコレート店が色んな味の卵型チョコレートを売り出し,それも人気になっています.毎年どんな味にしようか迷ってしまうほど種類がありますが,悩みながら選ぶのもまた楽しいひと時です.