![]() 【写真:パリに溢れるゴミの山】 |
マクロン大統領は持続可能な年金制度を構築するとして,現在62歳の受給年齢を64歳まで引き上げようと躍起になっています.フランス政府は3月中旬,憲法で認められた強権を発動し,下院で年金改革法案を採択させると発表しました.
マクロン大統領は下院で過半数の支持獲得を目指しましたが,実現できずにいます.この強行突破に反発した国民は,街中に溢れるゴミに火をつけたり暴動をおこすなどして怒りを表しています.パリなどの大都市ではごみ収集や焼却場の従業員によるストの影響で,街頭に未回収のごみがあふれています.

すでに1週間以上が経過し,様々な影響が表れています.歩行者通路のゴミは日に日にカサを増しており,歩行者,特に車椅子やベビーカーなどを押す人にはとても厄介です.ネズミも多発し,衛生が懸念されます.責任の所在は自治体にあるのか,国にあるのか,お互いが責任をなすりつけ合う事態になっています.
年金改革に反対する国民は1月からパリなど各地の路上でプラカードを掲げて練り歩いています.3月初めに行われたデモには128万人もの人が参加しました.鉄道,地下鉄,バスなどの交通機関,道路,輸送,医療,消防,港湾,燃料,電気.ガス,清掃,公務員,学校,商業,サービス業などさまざまな業種の人々が反対の意思を示しました.

ストの主軸となったのは交通.運輸,製油,電気.ガスなどの基幹産業部門で,労働者をおろそかにすればフランス経済はストップするということを訴えています.交通機関の混乱もまだまだ続きそうです.一度は年金改革を断念させざるを得なかったマクロン政府ですが,2度目の断念となるか,強行突破するか今後の行方が気になります.