![]() 【写真:イタリアでは北斎のみならず 国芳も人気の絵師のひとり】 |
夏で終わるはずだったミラノ郊外モンツァの王宮美術館での日本に関する展覧会,とても好評だったらしいので,10月まで延長されて公開中!その展覧会とは…なんと日本のモンスターこと『妖怪とその版画』展です.江戸時代(18世紀〜19世紀)の最も恐ろしい民間伝承などからインスピレーションを得た浮世絵師たちによる版画を通して,日本の古代神話やミステリーが混ざり合った幻想的な旅物語とそこに登場する妖怪たち…に焦点をあてた特別展覧会.今までなかったアプローチではないでしょうか?
![]() 【写真:モンツァの王宮美術館での展覧会.】 |
妖怪(モンスター),バケモノ(形を変えるモンスター) ,幽霊(帰還する),女郎蜘蛛(美しい女性に化ける),タヌキ(変身する)…といったものが想像力豊かに描かれた版画の展示にくわえ,江戸時代の古書,巻物,根付など,200点以上が展示され,かなり大きな規模の展覧会で,見どころがいっぱい.
![]() 【写真:妖怪展のポスターは 目を惹く構成!】 |
また数は多くないですが,着物や日本刀,武士の鎧甲冑などの展示も.イタリアにはなぜか根付のファンが多いような気がするのですが,コレクターも多く,よく展覧会があったりするのですが,今回も77個の根付(今まで一般公開されていなかった個人コレクター.ベルトッチ氏のコレクションです)が展示されていました.
日本ではもうこれだけの数の根付を一気に鑑賞する機会はなかなかないでしょうね.イタリアでは見る機会があるだなんて,不思議な感じがします.
神話上の生き物である『酒呑童子の物語』を描いた長さ10メートルの巻物も初公開されました!そして妖怪展が提供するもう1つの特別展示は,北斎の有名な漫画.イタリアにおける北斎の根強い人気を物語っています.
![]() 【写真:子供たちに人気の河童コーナー!】 |
また展覧会と並行してワークショップも盛んにおこなわれていたのも印象的.和綴じで自分のノートを作るコーナーや,子供たちに人気だったのは河童に変身して遊ぶコーナーなどがありました.
その他に人気なのが,ここ数年でジワジワと知名度を上げてきた「金継ぎ」を体験するワークショップ.金継ぎは,陶磁器を修復するための日本古来の技法です.この技術は 15世紀頃に始まったと言われ,八代将軍足利義政がお気に入りの茶碗を割ってしまった後,それを中国に送って直してもらったことから日本でも金を継いで割れ物を直していくようにしたのだとか…
イタリア人の研究家が書いた『金継ぎ,東洋を発見する旅』という本も出版されたりして,イタリアでは秘かな金継ぎブームが訪れているのかもしれません.