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オーバーツーリズムの対策は入島税 ヴェネツィア


【写真:リアルト橋の上も人が溢れて通れません!】

今年の4月イースター期間中のヴェネツィアへは,いきなり14万人以上の観光客が訪れたそうで,この数はパンデミック前よりも更に多いのだとか.そこで長年議論されていた課題「オーバーツーリズムをどうすべきか?」が再び浮上しました.

このヴェネツィアという小さな古い街は,もう長い間オーバーツーリズムに悩まされ,他地域への人口流出,毎年の水害や地盤沈下,大気や水の汚染,建造物の老朽化など多くの問題に直面していますが,イタリアで最も人気のある観光都市のひとつ.
そしてビエンナーレというアート関連の国際イベントもあって,1年中賑わっている街なのです.小さな路地や橋がいくつもあり,そこに身動きが取れないほどの観光客が毎日毎日詰めかけ,街も住民も悲鳴を上げていたのですが,年々観光客は増えるばかり…



【写真:サンマルコ広場はいつも大混乱.】

そこでこの歴史的なヴェネツィアの潟と環境遺産をキチンと保存し,守っていくために,かなり思い切った政策を打ち出しました.


ザイア.ヴェネツィア市長の発表によると
「今後はレストランや展示会のチケットを予約するのと同じように,ヴェネツィア市への入島も予約する必要があります.
ヴェネツィア本島を訪問される旅行者への入島税導入を2023年1月から開始する予定です.
入島税導入後はヴェネツィアを訪れる全ての人が入島の予約をすることになります」



これはヴェネツィア市内に宿泊をしない全ての人に課せられますが,ヴェネツィア内で宿泊をする人は免税されるようです.これは毎日何万人と来る「日帰り観光客」を思いとどませようとする意図があるようですね.
ちゃんとホテルに泊まって(そうすると訪問数を自然と制限できます)観光してくださいという事なんだろうと思います.


このヴェネツィア市長のアイデアは,今後更にヴェネツィアへの訪問を考えている全ての人の名前を記録するプラットフォームも……今のところそれに違反しての罰則はないみたいですが(今後は不明),予約する人には何らかの優遇措置を考え中だということです.


その他にも観光客の流れを管理するために,ヴェネツィアに最新の制御システムも装備されています.周りの人を数えることができる500台のカメラ.
警察は訪問者に関する詳細情報を取得するために,セルラーネットワークからデータも収集します.なんだかすごく管理された観光地になりそうですね.




【写真:ヴェネツィア市内はどこも人.人.人… 】

こうした試みはおそらく世界初になるかと思いますが,これはヴェネツィアという島で成り立っているからこその対策だと思います.
オーバーツーリズムに悩む他の都市,例えば京都やバルセロナでは同じようになかなか出来ないでしょう.

ヴェネツィアの人はどう思っているのでしょうか?
アンケートの結果,回答者の3人に2人は,ヴェネツィアは繊細で脆い街なので,保護されるべきであると肯定的に考えているようですが,一方で38%の人は,観光業がすでにパンデミックで多くの苦難を強いられているため,入場を制限することは死活問題に関わると答えています.

難しい問題ですが,美しい街を保存するためにどうするべきなのか,まだまだ悩みは続きそうです.



2022/07/19(火) Maliarda
No.6830 (イタリア)

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