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意外に知られていない(かも?),アイルランドの曲たち(前編)


【写真:北アイルランド観光局ウェブサイト】

今年の春.夏は,過去2年とは異なり,新型コロナに関する感染対策制限やら,ロックダウンやらがないので,今まで中止になっていたイベントが再開されるようになりました.

アイルランドは,伝統音楽が盛んな国なので,国内のどこかでいつも何らかの伝統音楽イベントが開催されているのですが,5月といえば,クレア州エニス(Ennis,Co.Clare)で毎年行われるフラーヌア(Fleadh Nua).今年は5月28日〜6月6日までの開催だそう.

さて,アイルランドの伝統音楽好きな方はもちろん,アイルランドの伝統音楽をよく知らない,そこまで興味はないかなぁ,という方も,実はアイルランドの民謡や伝統音楽に日本で接していたりします.

そこで,そんなアイルランドの民謡.伝統音楽を2回に分けて3曲ご紹介したいと思います.


今回ご紹介する一曲目は『ロンドンデリーの歌(Londonderry Air)』.
――とはいえ,おそらくアイルランドで"ロンドンデリー.エア"と呼ぶ人はいないのではないかな,と思います."デリー.エア"と呼ぶ人もいますが,その理由は後に記することとします.

その名の通り,北アイルランドのデリー州(Co.Derry)に伝わる民謡だと言われています.1851年にジェーン.ロスという人が,デリーの町角でこの曲を演奏していたバスカー(ストリートミュージシャン)に会い,楽譜にして,4年後『アイルランドの古代音楽』として出版したことで,世界中に知られるようになりました.

この曲は『ダニーボーイ(Danny Boy)』という名前でも知られていますが,これは1910年,イギリス人弁護士のフレデリック.ウェザリーが作った抒情的な物語詩でした.本人はアイルランドを訪れたことはなかったそうですが,アイルランド出身の義理の姉妹から『ロンドンデリーの歌』の曲を知り,そのメロディにそのまま自分の詩をつけたのだとか.


曲名に関しては,かなり繊細な事情もあります.

先ほど,アイルランドでは"ロンドンデリーの歌(Londonderry Air)"とは言わないと書きましたが,これは長年続く複雑な政治的事情によります.

アイルランド共和国では,デリー州(Co.Derry)と呼ぶ人が多いのですが,北アイルランド内ではロンドンデリー州(Co.Londonderry)派が多いです.
私がまだアイルランドに来たばかりのころ,こういった事情を知らず,アイルランドで『ロンドンデリーの歌』の話をした時,「アイルランドではデリー州だ!」と叱られたのでした(苦笑).


そのため私自身気を付けていて,話をする相手によって「デリー州」と言ったり「ロンドンデリー州」と言ったりしています(上記の曲名も同じように注意しています).

ところで,アイルランドや北アイルランド,デリー州の公式観光局ウェブサイトでは,「デリー/ロンドンデリー」という表記になっていました.


北アイルランド観光局ウェブサイト
https://discovernorthernireland.com/destinations/derry-londonderry


...後編へ,つづく.

(意外に知られていない(かも?),アイルランドの曲たち(後編)2曲目と3曲目)



2022/05/24(火) Uisce
No.6818 (アイルランド)

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