![]() 【写真:ダブリンにある ジェイムス.ジョイスの像】 |
来たる2022年2月3日,ジェイムス.ジョイス(James Joyce)の書いた『ユリシーズ(Ulysses)』初出版から100年を迎えるそう.
アイルランドからは著名な作家や詩人が多く輩出されています.例えば『幸せな王子(The Happy Prince)』など児童文学で有名なオスカー.ワイルド(Oscar Wilde),『ドラキュラ』のブラム.ストーカー(Bram Stoker),『ガリバー旅行記(Gulliver's Travels)』を書いたジョナサン.スウィフト(Jonathan Swift).また,英国の北アイルランドにも目を向ければ『ナルニア国物語(The Chronicles of Narnia)』のC. S. ルイス(C. S. Lewis)もいて,文学の宝庫といっていいほど.
![]() 【写真: 南仏ニースのホテルの 壁に貼られたプレート.】 |
最初にご紹介したジェイムス.ジョイスの『ユリシーズ』は,日本ではそこまで知名度はありませんが,アイルランドにいるとよく見聞きする作家であり作品でもあります.それにしても『ユリシーズ』ってどんな話なのでしょうか.
「ユリシーズ」なんて聞くと,ホメロスのオデュッセイアに関係する話に思えますが,実際はちょっと違っていて,ダブリンのある1日(1904年6月16日)の出来事を描いています.話のベースにオデュッセイアのストーリーをもじって書いてあり,そこからタイトルもオデュッセイアの英訳である『ユリシーズ』となっています.
プレート: <アイルランドの作家ジェイムス.ジョイスが(1882-1941),1922年10月このホテルに滞在.ここで彼の小説『フィネガンズ.ウェイク(Finnegans Wake)』の執筆が開始された>とありました. |
ダブリンでは,毎年6月16日あたりにBloomsday(ブルームズデイ)フェスティバルも開催されるのですが,初めてアイルランドに来てこのブルームズデイフェスティバルの話を聞いた時,私はてっきり「6月だと初夏で花も満開になる頃だし,だから"花"や"開花時期"を表すbloom(ブルーム)デー祭りかな?と思っていました(笑).
実際は,ブルームは『ユリシーズ』に登場する主人公レオポルド.ブルーム(Leopold Bloom)が由来と知り,アイルランド奥が深い――と思ったのでした.
![]() 【写真: 晩年ジョイスが暮らしていた スイス.チューリッヒの街並み.】 |
ジェイムス.ジョイスはヨーロッパの様々な国で生活しながら執筆活動をしていたのですが,亡くなったのはスイスのチューリッヒ.彼のお墓はアイルランドにはなく,スイスのチューリッヒの墓地に埋葬されています.そのため,ここ数年アイルランドのダブリンとスイス.チューリッヒの間で,ジェイムス.ジョイスの遺灰(とジョイスの妻ノラの遺灰)を返還する,しないの話し合いが続いています.
もともとはアイルランドの地に眠る予定でいたようですが,過去にアイルランド側から拒否されたという話があります.早くジョイスと妻ノラが希望する場所で安眠させてあげてほしいなあ,と思います.