![]() 【写真:その電話の相手は…? 知らない番号には くれぐれもご注意!】 |
今年の春頃の話です.アイルランド南西部リムリック(Limerick)で詐欺電話被害が1日で数十件とありました.
具体的にどういう詐欺電話だったかといえば,ある日突然知らない番号から電話があり,電話を取ると相手は『社会保護省(the Department of Social Protection)』からだというのです.社会保護省はアイルランドの政府機関の一つ.その社会保護省が唐突に誕生日や銀行口座,さらにはアイルランド版"マイナンバー"であるPPSNナンバーの情報まで要求してきた,とのこと.
かかってきた電話番号が083(携帯電話?)であったため,さすがにアヤシイと思った人が相手をせず電話を切ろうとすると,マネーロンダリングの罪があるとか,国外追放になるとか多くの罰金を払わされるといった脅迫をされた,というケースもあったのだとか.
夏になってもこういった電話詐欺被害は収まらず,083の電話番号のみならず,085や087から始まる電話番号からの電話詐欺が多く報告されるようになりました.手口はリムリックのケースと同じく,社会保護省をかたる詐欺で,脅迫が入るのも同じ.脅しによって銀行の情報や個人情報などを盗み取るよう.
電話だけではなく,配送会社などを装ってSMS(テキストメッセージ)でそれらしいニセの会社のウェブサイトのリンクを送り付け,そのリンクをクリックさせて情報を盗む,といった犯罪に遭うケースも増えました.
日本でも大手銀行等の名前をかたって偽ホームページへリンクで誘導し,パスワードや銀行口座の情報を盗み取る被害をよく耳にしますが,それがスマホになった感じ.
それにしても,これまでもこういった詐欺は多少あったとはいえ,今年に入って電話やSMS詐欺がここまで激増したのはなぜなのか?リムリック大学で教鞭をとる,サイバー犯罪に詳しいある専門家によれば,このコロナ禍で人々が孤立しがちになったことが一因であると言います.
あまり友人や家族に会えず,一人になりがちの状況に加え,仕事もオフィスではなく在宅勤務の人が増えました.その一人ぼっちの期間,こういった電話やSMSメッセージなどが届くと,どうしたらいいか分からず怪しいな,と本能的に思いつつリンクを思わずクリックしてしまったり,電話の向こうの怪しい相手の言いなりになったりしがちなのだそう.
確かに近くに家族や友達,同僚がいれば,そういう不審な電話やSMSが来ても「これどう思う?」と相談もできるし,被害に遭う前に制止してくれる人もありそうですが,一人だとなかなかそうもいかず…….
警察は「社会保護省から,個人情報や銀行口座情報を尋ねることは決してないので,相手をしない.そういった電話番号はすぐブロックする」「良く分からない内容のメールが来てもリンクをクリックしない」「もしそういった電話を受けたら,近くの警察に直ちに連絡すること」と注意の喚起をしています.
在アイルランド日本大使館のホームページでも,この電話詐欺に関する注意喚起情報が掲載されていますので(2021年8月30日領事情報内)ご一読されることをおススメします.