![]() 【写真:ミラノのガッレリア. イルミネーション】 |
毎年12月の声をきくと,街はイルミネーションに彩られます.キリスト教国では次の年の1月6日の公現祭までこうしたイルミネーションやクリスマス市が設置され,クリスマスが終わった年末年始も楽しむことができるようになっています.そしてミラノ市だけのお楽しみは,市から市民へのクリスマス.プレゼントとして美術鑑賞の機会も設けられます.
場所はミラノ市庁舎であるマリーノ宮,もちろん期間中は入館は無料で,ここ数年は市職員による作品への解説なども聞くことが出来て,美術鑑賞を更に深めるようにオーガナイズされています.
![]() 【写真:大聖堂前にもX'masツリーが登場】 |
ここ数年の展示を顧みても,ペルジーノ『東方三博士の礼拝』やティツィアーノの『聖会話1520年』,ルーベンス『羊飼いの礼拝』,ラファエロ『フォリーニョの聖母』そしてカノーヴァの彫刻『アモルとプシュケ』など,かなり有名な名画.彫刻が展示公開され,展示の仕方も本当に素晴らしいので年々入館者は増えていくばかりですが,列に並んでも見る価値はあります!
![]() 【写真:フィリピーノ.リッピの『受胎告知』】 |
今年2019年は,フィリピーノ•リッピの『受胎告知』1482年頃の作品です.イタリア中部,トスカーナ州サン•ジミニャーノの市立美術館所蔵.
フィリピーノは画家フィリッポ・リッピの息子で,10歳で孤児となった後,巨匠ボッティチェリの工房に引き取られて育てられました.
ですのでフィリピーノの作品には師であるポッティチェリの影響が多々ありますが,彼の特徴は北方の影響も受けたことで,細部へのこだわりも見受けられることでしょうか.
主題の受胎告知とは,大天使ガブリエルがキリスト受胎を告げるためにマリアのもとを訪れること.そのシーンが何世紀にも渡って絵画に表現されてきました.一つの画面にマリアと大天使ガブリエルを描くのが普通ですが,この『受胎告知』はマリアだけ,大天使ガブリエルだけが描かれていて,とても珍しい構図だと思います.
ミラノ市庁舎マリーノ宮で来年2020年1月12日まで展示していて,夜8時まで(最終入館は7時半まで)開いているので,年末年始にミラノに滞在されている方,名画をお得に鑑賞できる機会ですので,是非足を運んでみてください.