ドイツのお葬式に参列〜アイルランドとの違い 〜 アイルランドワーキングホリデー | ワーキングホリデー通信
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ドイツのお葬式に参列〜アイルランドとの違い 〜 アイルランドワーキングホリデー

【写真:アイルランドの墓地】

日本ではお盆も終わりましたが,日本でワーホリや留学準備をされている方は,お墓参りなどに行かれたりしたのでしょうか.アイルランドでお盆のような行事があるのはハロウィーン翌日の諸聖人の日(All Saints' Day)である11月1日.この日にお墓参りへ行く人がアイルランドでは多いです.

夏に日本へ帰省をしなかったので,お盆のお墓参りは行けなかったのですが,その代わりお葬式に参列しました.しかもアイルランドでではなく,ドイツで!
アイルランドですら,お葬式に行くことはあまりありませんし,ドイツもしかり.伝統や宗教,地域性などが大きく関わる冠婚葬祭の行事は,家庭によって異なるので,それぞれの国の傾向はあれど「これがアイルランド式」「これがドイツのやり方」と十把一絡げにできないので,私個人がアイルランドとドイツで経験したお葬式事情をご紹介したいと思います.



【写真:ドイツの墓地は墓地というより「公園」のよう.
散歩やサイクリング,墓地内のベンチで
休んでいたりと,憩いの場になっています.】

私の印象では,宗教に違いがあれど,アイルランドと日本のお葬式は共通点が多いように思います.人が亡くなれば,ご遺体が個人の家か斎場(今はこちらのケースが多いのかもしれません)に安置され,家族や親しい人が集まり,棺の中の故人に会いに来ます.そこでお茶を飲んだり,サンドイッチなどの軽食を食べたり,夜が更ければお酒もかなり入ったりします.

アイルランド版通夜は通常Wake(ウェイク)と呼ばれていますが,アイルランド人の友人によれば,都市部ではこのウェイクを行うことが少なくなっていると話していたので,全国的に通夜をしなくなってきている傾向があるのかもしれません.
翌日にRemoval(リム―ヴァル)があり,安置されていたご遺体は霊柩車に乗せられ,教会へ行き,そこでお葬式のミサがあることが多いです.そして埋葬(Burial/ブリアル)があるのですが,カトリック教徒が多いアイルランドでは,日本と異なり火葬(Cremation/クリメイション)はあまり聞きませんが,費用や墓地の不足,経済事情等の理由で,以前に比べれば火葬は増加しているようです.



【写真:樹木葬.若い樫の木が墓標として
植えられていますが,この墓地
の場合,名前のプレートが
貼られるわけではなく,
番号札で管理しています.】

さて,今回お葬式でドイツに行くことになったのは,夫の叔父が53歳の若さで急逝したからでした.実際に亡くなったのはお葬式の一か月前.日本やアイルランドだとよほどの事情がない限り,亡くなってからお葬式まで1か月も間が空くことはあまりないと思うのですが,今回夏休みという時期だったので,親族が旅行で数週間不在だったため,結局親族全員そろう日がひと月後だった……ということでした.

12年前に夫の祖母が亡くなった時,お葬式は1週間後で土葬だったので,今回の叔父のお葬式も同じかと思っていたら,叔父は火葬でしかも「樹木葬」でした.祖母の時は牧師さんがお葬式を取り仕切られていましたが,叔父の場合は墓地内に設置された祭壇でお葬式が執り行われ,葬儀社の方が進行をされていました.そこでは叔父が生まれてから亡くなるまで,色々な逸話を取り混ぜつつ,そしてところどころに叔父のお気に入りだった曲も挟みながら進行したので,まるでラジオ番組を聞いているかのような気持ちになりました.


最後に墓標として植えた樫の木の根元に骨壺を納め,参列者が一人ずつバラの花びらを一掴み,そしてスコップ一杯分の土を骨壺の上からかけていきました.なんだか日本のお焼香の儀式を彷彿とさせる光景でした.
お葬式の後は親族でコーヒータイムです.祖母の時は牧師さんと一緒に墓地近くのカフェへ行きましたが,今回は義理の両親宅でコーヒーと軽食をとり,ラストに故人(叔父)の送った人生を称えるためにシュナップス(Schnaps)と呼ばれるアルコール度の高いお酒で乾杯して,お茶会はお開きとなりました.

アイルランドや日本のお葬式に比べると,少しドライなイメージが強かったドイツのお葬式だったのですが,今回のお葬式は悲しい気持ちながらも,親族がとても前向きに故人を見送っている姿勢が印象的で,とても素敵なお葬式でした.



2019/08/20(火) Uisce
No.6515 (アイルランド)

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