![]() 【写真: 街で見かけたギネスビールの看板.実際に マーケティングとしてギネスビールが「体に良い」 と謳っていたのは1940年代までだそう.】 |
3月17日の聖パトリックデーも終わり,はや半月が経ちました.この日はきっとアイルランドのみならず,日本や世界の他の国々でもギネスビールやアイリッシュビールが大売れだったのではないかと想像しています(笑).
アイルランドに住んでいたら,いやでも一度は飲むことになるのではないかというギネスビール.町を歩いていても,パブやレストランなどでは古いノスタルジックな雰囲気の看板を見かけることも多いのですが,そこで書かれている言葉は「Guinness is good for you(ギネスビールは体に良い)」とか,「Guinness for strength(ギネスビールで力モリモリ)」といったスローガンも.
![]() 【写真:ダブリンのギネスストアハウスで.歴代の ギネスビールの看板が展示されていました.】 |
まだアイルランドに来たばかりの頃,こういったギネスビールの看板を見て,アイルランド人のユーモアだと思っていましたが,実際本気でギネスビールは体に良いと考えているアイルランド人は少なくないように思います.
昔はお医者さんが病人や妊婦さんに滋養強壮として,ギネスビールを真剣に奨めていたと言いますし,近年の話では献血者に1パイントのギネスビールを無料で提供したりもしていましたが,これは2009年11月に廃止されるまで伝統として続いていたので,それを知った時はショックでした(笑).なんでも献血すると献血者の血が不足するので,それを鉄分が多く含まれているというギネスビールで補う,ということだったよう.
しかしいくら"体に良い"ギネスビールも,お酒はお酒.アルコール飲料であることには変わりありません.この頃アイルランドでは,酒気帯び運転で捕まる基準が厳しくなったこともきっかけとしてあり,現在は献血者へのギネスビール提供はされていません.残念……?
実際あまりビールを飲まない私にとっては,ビールなんて原料があまり変わらないのだから,ギネスビールだけが健康に良いなんてどうなの?と思うのですが,ギネスビールが体に良い!と思われる所以は以下の理由にあるようです.
| ギネスビールが体に良い所以 |
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| 理由その1.他のビールよりもカロリーが低め. |
| クリーミーで黒いくてどっしりした風味から,ハイカロリーに思われがちですが,例えばグラス一杯分(341ml)のハイネケンが142カロリーなのに比べ,ギネスビールは125カロリーとやや控えめなのだとか. |
| 理由その2.他のビールよりもギネスビールは葉酸が多く含まれている. |
| ほとんどのビールには抗酸化物質やビタミンBなどが含まれていますが,その中でもギネスビールは葉酸が他のビールより多いのだそう.葉酸はDNAを合成し,新しい細胞を作るのに必須の栄養素であるため,妊娠期にはとても大事だと言われています. そう考えると,今のように色々な食事を楽しめる生活が普通ではなかった昔の時代,医者が妊婦さんや授乳中の母親たちに,ギネスビールを奨めていた理由もよく分かるような気がします. |
ギネスビールには鉄分が多く含まれている!と信じるアイルランド人は現在も多いのですが(私もそう思っていました),実際はそうでもないようです.ただ初期の頃(1821年〜)は,原料に生酵母が使用されていたため,現在のものに比べもっと多くの鉄分が含まれていたのだそうですよ!
今後ギネスで一杯!という時は,じっくりその風味に加え,ギネスビールの歴史も味わってみてはいかがでしょう♪