![]() 【写真:会場のプティ.パレ】 |
現在パリのプティ.パレ美術館で開催中の伊藤若冲展へ足を運びました.フランス在住の日本人の間では開催前から注目度が高かったのですが,フランスの数多くのメディアもこの貴重な美術展を取り上げており,その関心度の高さが伺えます.
というのも,この若冲展は今年の日仏交流160周年を記念したジャポニズムの行事の一環で開催されているもので,宮内庁が一カ月限定でフランス政府に貴重な若冲代表作の「動植綵絵」コレクションを中心とする作品を貸し出しています.日本人の私たちにとっても普段はなかなか見ることのできない作品の数々です.当時の最高品質の画絹や絵具を惜しみなく使用したため,200年経った今でもその保存状態の良さに驚かされます.
![]() 【写真: 「動植綵絵」】 |
江戸の中期に活躍した京都出身の若冲は,生前は人気が高かったものの明治時代以降忘れられがちな時期もありました.大正時代以降,改めて彼の作品の素晴らしさが見直され,現在もその人気は衰えません.
会場には日本人に混じって多くのフランス人が来場しており,熱心に一つ一つの作品に見入っては,作品について語り合っているのが印象的でした.多くの日本人画家が落ち着いた色の作品を残しているのとは対照的に,若冲の作品は一瞬にして目を奪われるその色鮮やかさやで私たちの目を楽しませてくれます.
綿密な写生に基づくきめ細やかな描写と繊細なタッチ,そしてその超絶した技巧は圧巻の一言です.