![]() 【写真:ルーヴル.アブダビ】 |
約11年前,フランスはアブダビに「ルーヴル」の名前を使用した美術館を作ることに合意しました.
よって,アブダビは30年間「ルーヴル」の名前を使用することが許可されました.
去年11月,マクロン大統領も立ち会った開館から約1年が経とうとしているルーヴル.アブダビにこの夏行く機会がありました.着いてすぐにその建築が強い印象を与えてくれます.フランスの建築家ジャン=ヌーヴェル氏が設計を担当し,アラブ首長国連邦の建築や伝統にインスパイアされたというこの独特な設計は今まで見たことがないスタイルです.外観とは対照的に,美術館の中はいたってシンプルで,白を基調としたモダンでミニマムなデザインで,作品が引き立ちます.
![]() 【写真:ルーヴル.アブダビ】 |
ルーヴル美術館はもちろん,オルセー,ポンピドゥー.センター,ヴェルサイユ宮殿,ギメ,ケ.ブランラリー,フランス国立図書館,ロダン美術館などから貸し出された,古代のものから現代美術まで幅広い展示作品が楽しめます.興味深いのは,アイテムごとにアジア,ヨーロッパ,中近東といった異なる文化で生まれても同様の趣旨のものに作られ(使用され)た美術品が同じ場所に並べられ,比較できるようになっています.
![]() 【写真:マネの作品,「ボヘミアン」.】 |
美術ファンにはたまらない,ピカソ,マティス,ゴッホ,マネ,からアイ.ウェイウェイまで,そうそうたるアーティストの絵画や作品も並んでいます.
日本の屏風,東海道五十三次,正倉院コレクションなどもあります.
ルーヴル.アブダビは,アブダビにおいてフランスのルーヴルのコピーではなく,その名により,フランスの美術館に付随する価値を伝えるという趣旨のものです.啓蒙のヨーロッパで生まれた文化の形を,アラブの国に伝えるこのプロジェクトは,そのアイデンティティーの最も深いところに,発見と出会い,教育の概念を持っています.
![]() 【写真:ジャポニズムの作品も.】 |
この新しい美術館は,アラビアが担ってきた東と西,北と南をつなぐ役割の延長ともいえます.