![]() 【写真:イタリアで一番有名な北斎の絵といえばコレ!】 |
2016年は,日本とイタリアが修好通商条約を締結して国交を開設した1866年から,ちょうど150周年にあたります.両国のこれまでの交流,そして今後ますます色んな分野で交流を図るための目的で,すでに日本でもイタリアに関する色々なイベントや展覧会が開催されていると思いますが,ここイタリアでも各地で日本に関するイベントや展覧会が開催中です.
![]() 【写真:北斎漫画コーナーもあり.】 |
その中でも特に人気なのは,ローマ日本文化会館主催の文楽ミニ公演やローマを代表する遺跡コロッセオの夜間ライトアップ,そしてスクデリア宮殿における日本の仏像の傑作を集めた仏教美術展などがあります.その他,漫画の展覧会,日本文化に関する様々な講演会,ワークショップ,お酒等の試飲会等々.
そして2016年9月22日からは,こうした日伊国交150周年記念の最大ともいえる催しが,ミラノ王宮博物館で開催されている「北斎.広重.歌麿」展です.日本が生んだ3人の浮世絵の巨匠,葛飾北斎,歌川広重,北川歌麿の合計200点を超える作品が展示されていて,それはそれは圧巻!なのです.開催されてからまだ日はそれほど経ってませんが,連日大盛況みたいで,先日土曜日に鑑賞しましたが,入口手前は長蛇の列でした...予約して行ったので列には並んでいませんが.
![]() 【写真:北斎.広重.歌麿展の入口.】 |
この展覧会の構成も素晴らしくて,企画者の一人であるミラノ大学東洋美術史ロッゼッラ.メネガッツォ教授のセンスの良さも際立っていると思います.3人の浮世絵師がほぼ同時期に残した,より重要でかつ世界的にも有名な作品の木版画が選ばれています.そして同じ題材(各部屋ごとにテーマがあり,もし,滝がテーマなら,北斎や広重の滝の作品がズラーっと並べられ,それぞれの色使いや構図の違いなどがハッキリと分かるように展示されています)が各浮世絵師によってどのように繰り返されたのか,またどのように構図を工夫してきたのかという点なども考慮されて作品が展示されています.
メイン.テーマはもちろん「富士山」で,イタリア人にも人気の北斎の「神奈川沖浪裏」(イタリアでは北斎の『Onda/波』と呼ばれていますが)の前にはたいへんな人だかりで,オーディオガイドを聞きながら,一生懸命鑑賞している若いイタリア人が多かったのも印象的でした.
その他,浮世絵ができるまでの過程が見られる映像コーナーや,葛飾北斎が絵手本として発行したスケッチ画集「北斎漫画」展時コーナーもあり,子供たちが楽しそうに鑑賞している姿も目立ちました.
日本でもこれだけの浮世絵作品を一堂に会する機会はなかなかないでしょう.来年1月29日まで開催しているので,これからミラノに来られる方,是非足を運んでみてくださいね.