![]() 【写真:地域別の投票結果.(c)AFP】 |
日本でも連日ニュースで報道されているかと思いますが,23日の国民投票でEU離脱派が4ポイント差で勝利しました(52%対48%).
これは多くの人々にとって予想外の結果でもあり,残留派が62%と優勢だったスコットランドでは,この結末に対する怒りや落胆の声を多く聞きます.残留派が優勢だったロンドンをイギリスから「独立」させてEUに加盟するよう呼びかけるオンライン署名運動も15万人以上に支持されるなど,国内での混乱の様子が伺えます.
投票の争点で生じた対立は,イギリス社会がもともと抱えていた「若者と高齢者」,「中産階級と労働者階級」,「高所得者と低所得者」の溝を一層深くした,という点が話題になっています.
具体的には,18歳〜24歳では73%が「残留」を支持したのに対し,65歳以上の高齢者では60%が「離脱」に投票,高所得者や中所得者層の57%が「残留」に投票した一方,低所得者層の64%が「離脱」に投票しています.離脱支持が優勢の地区は,労働者階級が多いイングランド地方部に集中し,イングランドでもロンドンなどの都市部は残留派が優勢でした.
世代や階級,所得などによる差が今回の国民投票の結果で決定づけられたことは否定できません.社会の二分化や分断がイギリス社会にとって大きなマイナス要素であることは確かでしょう.