![]() 【写真:ブック.フェスティバルの一環で 催されたトークショー】 |
先日,ロンドン在住の日系作家,カズオ.イシグロ氏のトークショーに出かけてきました.2010年に映画化された,『私を離さないで』で彼の名前を知った人も少なくないのではないでしょうか?『私を離さないで』はイギリスで最も権威ある文学賞の一つであるブッカー賞を受賞したことでも有名な作品です.
同じく1993年に映画化された『日の名残り』のほか,『遠い山なみの光』,『浮世の画家』,『充たされざる者』,『私たちが孤児だったころ』などの数々の長編小説を発表している,イシグロ氏ですが,今回のトークショーは『私を離さないで』から約10年ぶりの新作となる,長編小説『忘れられた巨人』の発売を記念してのイベントでした.
新作は中世イギリスを舞台に,老夫婦が息子を探す旅に出るという物語なのですが,トールキン著の『指輪物語』のようなファンタジーの要素が含まれていて,これまでの作品とは異なった作品に仕上がっているとのことです.どのようにこの作品のアイディアが生まれ,この作品が10年の歳月を経てどのように完成していったのかというような,普段作家には聞くことができないような貴重な話を,トークショーの中で伺うことができました.
イギリスでは3月3日に発売されたのですが,リリース直後にもかかわらず,すでにこの本を完読したというたくさんのファンが会場に来ていて,トークショーの最後にたくさんの質問を投げかけていました.
『忘れられた巨人』の日本語版は,4月下旬に早川書房から刊行される予定だそうです.訳は『私を離さないで』の翻訳も手がけた土屋政雄氏.6月にはイシグロ氏の来日イベントも決定しているそうなので,興味のある方はぜひ足を運んでみてください.すでに映画化の話も進んでいるそうで,今後がまずます楽しみな作品ですね.
早川書房ホームページ